世界へ、そして未来へ 神奈川大学

vol.3 私と神大駅伝チーム 神大駅伝チームの健康を守る料理長 塩沢 恵子さん

部員たちは本当の子供のようなもの。
寮の食堂がいつまでも彼らの憩いの場であってほしいと思います。

本学陸上競技部駅伝チームの寮で、食堂の料理長を務める塩沢恵子さん。
地元神奈川県の出身で神大駅伝チームを身近に感じてきた。食事の面から部員たちの健康をサポートし、さまざまな相談にも乗る神大駅伝チームのお母さん。

私と神大駅伝チームとの出会い

私は地元神奈川県の出身で、神大駅伝チームは子供の時から知っていますし、応援もしてきましたので、とても身近な存在でした。
駅伝チームの寮の料理を担当するようになったきっかけは、勤めている会社からの要請によるものでした。もともとは飲食店をやっていて料理を作るのが好きだったこともあり、これも何かの縁だという気持ちで引き受けましたが、早いものでもう16年も経ってしまいました。
選手たちが早朝の練習から帰ってきて、朝食を食べ始めるのが7時45分~ですから、毎朝5時半前には厨房に入り、大体2時間くらいかけて朝食を作ります。そして、10時過ぎに洗い場を終え、いったん自宅に戻り、夕方4時半くらいには再び厨房に入ります。夕食は、練習が遅くなる水曜日以外はだいたい21時半くらいに終わります。このスケジュールを人に話すと、みんな「結構な重労働だね」と驚きますが、不思議なことに、自宅にいるより寮の食堂にいる方が落ち着くんですよね(笑)
土曜・日曜、そして夏季合宿の間以外、選手たちとはほぼ毎日顔を合わせているわけですから、一人ひとり本当の子供のように可愛いですし、その日の身体の調子だって気になります。日々の献立は、会社から長距離を走る陸上選手のカロリーを計算したメニューが送られてくるので、それを基本としますが、暑い日が続けば冷たい調理法に変えるなど、現場の判断で選手が食べやすいよう工夫をしています。また、好き嫌いの多い子もいますので、苦手なものは細かく刻むなりして、「選手として必要なものなんだから食べなきゃね」なんて言い聞かせたりもしています。私にとって神大の駅伝チームは、本当の意味で生活の一部ですね。

私が神大駅伝チームを応援したい理由

部員のみんなは可愛い子どものようなもの。レース前は、怪我のないことをただ願っています。

部員たちは私にとって可愛い子供ようなものなので、そんな子たちを応援するのは当然のこと。でもいつも心配なのは、健康状態はもちろん、練習やレースでの怪我ですね。
今年の全日本大学駅伝の予選会は1位で通過したので、成績的にはホッとしていますが、レース前はどの子も怪我だけはしないようにとずっと祈っていました。駅伝は、誰か一人でも走れなくなれば襷がつなげず、そこで終わりですよね。私なんか、「レースに出られるだけでもいいんじゃないかなぁ」などと思ってしまいますけど、部員の子たちは少しでも高みを目指して頑張っているわけですから、やっぱり「頑張ってね」と応援するしかないです。この日(全日本大学駅伝予選会当日)も、部員の子がすぐに結果を連絡してくれたので、私も食堂の連絡ボードに『お疲れさま』と書き込みました。みんな、何かあるとすぐに電話で知らせてくれるので、うれしいし、安心もできます。
おそらく、部員の子たちにとって寮の食堂は一番の憩いの場というか、リラックスできる場所なんだと思います。誰もが4年経てば卒業していきますが、部員の子たちにとって、ここがいつまでもそういう場所であればといいなと思います。

私が思い出に残っているエピソード

箱根駅伝の当日は、選手たちは夜中の0時に食堂に来て、それから2時から3時くらいまで10人ずつに分かれて食事を摂ります。毎年お正月は元旦の夜から仕込みなどで大変ですが、それも部員の子たちが力を合わせて箱根出場を決めてくれているからこそ。今年も予選会を無事に通過して、本大会でもぜひ頑張ってほしいと思います。
部員の子たちは、今どきの若者としては考えられないほどストイックな生活をしています。金曜日はお楽しみメニューの日なので、みんな口々にステーキだとかいいますが、まあ冗談でいっているんです。油を用いる料理は、年に10回も出しません。それに、ある時の献立で天ぷらを出したら、みんな衣を剥がして食べるんですよ。きっと食べたい気持ちより、節制する意志の方が強いんですね。そんなところは本当に凄いなぁと思いますよ。
他にも、部員たちとの毎日の触れあいは事欠きません。「歯が痛いからいい歯医者を教えて」とか、「足が冷えるから湯たんぽのお湯を貸して」とか…(笑)いろいろなことで私を頼ってくれるので嬉しいし、本当の親子みたいな関係だとも思っています。

※役職・文章等は取材当時の内容となります。

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