世界へ、そして未来へ 神奈川大学

vol.6 私と神大駅伝チーム 神奈川大学陸上競技部OB会会長 杉浦 修さん

病の中で励みになった選手たちの走り。OBとして時間が許す限り、後輩たちを支援したいと思います!

学生時代は十種競技の選手でありながら二度の箱根を経験。
現在、総勢750名の神奈川大学陸上競技部OB会会長を務める松浦 修さん。
現役時代の強い想いを胸に、後輩たちへの支援に力を注ぎ続ける。

私と神大駅伝チームとの出会い

随分昔の話になりますが、私が学生時代の頃は、神大の陸上競技部で十種競技の選手をやっていました。当時は25人~30人程度の部員しかおらず、駅伝に限って言えば、部員15人前後とギリギリの人数だったということもあり、なぜか十種競技の私が借り出されていました。
1年生で初めて箱根駅伝予選会に出場し、本大会へ駒をすすめましたが、2年生 と3年生は残念ながら予選で落ちてしまいました。4年生のときにはキャプテン に任命され、このときは2度目の予選突破を果たしました。
卒業後は岐阜県で就職したのですが、他の大学の方の話を聞くと、他大学の陸上競技部ではOB会が多岐にわたり支援をしているということを知り、「私も仕事をしながらでも、年に数回でも部に顔を出して、自分のできることをしたい」と思ったわけです。

陸上競技部OB会の活動は大きくわけて二つあります。一つ目は、現役選手への“物心両面にわたる支援”です。年間2回から3回、皆さまからいただいた支援金を部に寄付させていただいているほか、時間の許す限り大会や練習、合宿に見に行き、故障している選手や、行き詰っている選手に声を掛けたりしています。もちろん、現場の指導方針などには決して口を出さないようにしていますので、あくまで、選手たちのメンタルケアを心がけています。そして二つ目が、OBの皆さんの交流を支援することです。上は90代から下は20代の方まで、総勢750名ほどから成る大きな組織ですので、それら世代間のつながりをお手伝いすることが私たちの活動です。

私が神大駅伝チームを応援したい理由

もちろん、毎年その時々の選手をよく覚えていますよ。しかし強いて言うなら、今から23年ほど前のことです。私は当時、原因不明の病で62日間入院してしまい、手術を受けたのですが、入院中に偶然見ていた出雲駅伝での高津選手の走りに勇気をもらったのです。17年間箱根駅伝に出場でなかった低迷期をやっと抜け出した時期でしたが、高津選手の走りを目にし、「彼はこれだけの練習をやってるのか!」と感動したのを覚えています。次の日から私も負けてはいられないと、朝起きてまず4キロ歩き、昼からも歩き、その甲斐あってか医者も驚くほどの早さで体調が回復しました。73回・74回の箱根駅伝を連覇したときは、もちろん嬉しかったですが、私にとって励みになったのは、この年の出雲駅伝でした。そして「自分が許す限り、後輩たちを支援したい!」という気持ちがますます強くなったのです。

会長職は前会長から引き継いで、今年で7年目になります。私の選手時代は、練習環境が決して恵まれていたわけではなく、当時は下宿先や家から通っていた部員ばかりでしたので栄養管理も十分と言えるものではありませんでした。今は合宿所や食堂を整備いただき、練習場へ移動する車も準備いただきましたが、陸上は身体が資本の競技ですから「土日の食事環境や、専用のトラックをつくり練習環境を整備してやりたい!」という強い想いがあります。私ができることは微力ですが、OBたちの力を集結し、その想いを実現したいと思っています。

神大駅伝チームの選手たちへのメッセージ

厳しい練習の積み重ねで、身体で覚えたことは卒業後どんな壁に直面しても乗り越える力になるんです!

現在、私は縁あって地元の中学校の陸上部の指導にあたっています。日頃生徒たちに言っているのは、「自分自身で考えること」と、「あきらめない気持ちを持つこと」です。「もし、自分が走っていて、後ろから相手に追いつかれてしまったとしても、あきらめずにまずは相手について行こう。離されないようについて行けば、いつか相手が嫌になる時が来る。その時に、少し前に出てみよう。そしてそれを最低3回やってみようじゃないか。それでも負けたら相手が強いんだ」と言い聞かせているんです。彼らの努力で、今年の地区の大会では4位になり、創部以来初めて県大会に出場することができました。彼らは“自分で考えることの大切さ”と“絶対あきらめないことの大切さ”を身体で覚えることができたのです。彼らはきっと、高校生になったときもその経験を活かすことができるでしょう。

それと同じことが大学生にも言えると思います。私が大学4年生の時の箱根駅伝の予選会では、16秒差で他校を退け出場権を手にすることができました。16秒差ということは、一人あたりに換算するとわずか1.6秒の差ということになります。勝負の厳しさとはまさにそこなんだと思います。日々の練習の中でも、必ず自分で考えること。そしてレースで競り合いになったとき、絶対あきらめない気持ちを持つこと。そうすれば、必ず結果はついてきます。特に箱根駅伝は周囲に与える影響が大きい。選手の皆さんにはそうした気持ちを前面に表して人に感動を与える走りをしてほしいと思います。

※役職・文章等は取材当時の内容となります。

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